2SK2145は何用のデュアルJFETなのか いっぱい余っている2SK2145を使おう!


実は2SK2145について書くのはこれが初めてではないのです。
しかし、以前書いたページはアップロードせず放置されているので、
アップロードは初めてです。

さて、2SK2145です。
これは東芝のデュアルJFETです。
今は国内電子部品ショップでも売っていますが、私が購入した当時は扱いがありませんでした。
今は貴重な国内メーカーのデュアルFETなので、多めに確保しました。
しかしこのFET、私にはいまいち使い道がないのです。普段は2SK208・2SK209が多いです。


2SK2145はソース共通のデュアルFETなので、差動アンプに使うのが主な用途だと思います。
ドレイン電流は2mAで12mS程度あります。
よくアンプを設計する方はわかると思います。この値がいかに半端か。
このgmの値は、スルーレートを考慮してパワーアンプを作るには少し大きすぎ、
かといってヘッドアンプに使うには小さすぎるのです。

パワーアンプには使えなくもないですが、最近の素子は面実装が主流で
許容損失が小さくなっています。(放熱するのであれば割と大きいものもある。)
このFETに印可される電圧は低くても他の部位に無理が出てくるので、
通常の構造(パラなどにしない場合)では、極端に大きな電流を流すことはできません。
電流は流せずgmだけ大きいと、一般的に帯域幅をちょうどいい値にするとスルーレートが低くなりがちです。
構造や設計等にもよるので詳細は書きませんが、ちゃんと理解し、計算して作る方はおわかりになると思います。


では全く使い道はないのか?
いいえ、そんなことはありません。
カットオフ周波数が高い(≒補償容量が小さい)アンプで使えばいいのです。
つまり、オペアンプICのような性能の回路をディスクリートで作るような場合には使えます。
2SK2145の高いgmによって、低い雑音と広い帯域幅を狙うことができますので、
DACのIV変換部に使ったり、パワーアンプの入力部等にも良いかもしれません。
ただし、広い帯域幅を安定して実現するには、相応の技術が必要です。


なお、2SK2145を使ったものでどう見ても発振するディスクリートオペアンプを
販売されている方も見かけますが、よくやるなぁ…と思います。
(これは2SK2145に限ったものではなく、他の素子やICでも同じです。)
計算してないな・測定してないな・わかっていないな、というのは、
わかる人が見ればわかりますから、いくら言い訳が達者でも技術屋さんは察します。
技術の伴わないアンプにはロマンも高音質もなく、そこにあるのは機器破損の危険性だけです。

―――

2023年8月。


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