・札幌地裁・大阪地裁の同性婚判決は何が論点で、どういう結果なのか

※これを書いたのは2022年6月。東京の判決はまだ出ていない時期。
※個人的には、幸せな人は多いほうが世の中良くなるだろうから、合憲か違憲かはともかく、
 現在同性婚が認められない理由はわからない…と思っている。
 そもそも自分に直接関係ないことを禁じる理由はないと思うので。

札幌地裁や大阪地裁などに出されていた(いる)同性婚訴訟。
この訴訟の内容は「同性婚は憲法違反かどうか」であり、
すでに結果が出た札幌地裁では違憲、大阪地裁では合憲という結論が出た。
結果が異なっているため、大阪地裁判決のあとは報道番組などでも大きく取り上げられていた。

なぜ違う結果が出たのか。また、その理由は何なのか。
ちょっと引っかかることがあったので、まとめておくことにした。


まず論点は、「同性婚できなかったんだけど、それ憲法13条・14条・24条に違反してね?」というもの。
13条は「国民は個人として尊重される」、14条は「平等・差別されない」、
24条は「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立(本人たちの意思で結婚できる)」という内容。
詳しくは調べてもらえれば。憲法自体を読めるところもたくさんあるし、
憲法を解説している本もたくさん出ているので。

そして判決は、前述の通り、札幌地裁で違憲、大阪地裁で合憲だった。


では、札幌地裁では何が違憲と判断され、大阪地裁では札幌地裁と何が違ったのか。

札幌地裁は、
「婚姻は戸籍によって身分が公証され、それに応じた法的地位が付与されるのに、
 同性婚はそれがない。区別する合理的な理由もないし、14条に違反してない?」と言っている。
実際の文章はこんなに短くなくて、その歴史も含め長ーく説明してくれているし、
契約や遺言は婚姻の代替にはならないとも書いてある。

つまり、婚姻は関係性の保護を目的としており、同性愛者が同性婚できないのは
その関係性の保護を受けられないので差別されている。よって違憲、との判決。


一方大阪地裁は、
「異性間の婚姻を前提とする制度しか存在しない現在では、同性で婚姻する自由がなくても13条に違反してない。
 婚姻は自然生殖により子が生まれ、子孫を残し、次世代へ承継する関係の法的保護だからね!」と言っている。

つまり、婚姻は生殖の保護を目的としているので、
子供できない同性婚の人たちが今保護されないのは仕方ないよね、との判決。

でも、大阪地裁は24条が「同性間の婚姻やそれに準ずる制度を作ることは禁止してない」とも書いている。
だったら、前述の内容で合憲はおかしいのでは…。(禁止していないと言っているものを禁止しているため。)
さらに、「新たな婚姻類似の制度を作ればいいんじゃない?」とも書いているのだけども、
これは「分離すれども平等」であり、完全に違憲だと思ってしまう。
そもそもこの大阪地裁の判決、内容に統一感がなくて、妙な感じがする。

なんにしても、大阪地裁の判決は「婚姻は生殖関係の保護である」としているため、
生殖できない者は婚姻できないような制度でないとおかしい。
もう、「子供ができたら結婚」という制度に変えたほうが良いのではないかと。

この大阪地裁の判決を支持する人は、「子供ができない奴は結婚するな!」と
大きな声で主張していただければと思う。大阪地裁の判決は、そういう内容なので。

次は秋ごろの東京らしいので、どういう判決が出るのかこの先も注視していきたい。



判決の内容だけを支持・不支持するのではなく、その内容をちゃんと読んで、
色々な情報を仕入れて、自分の頭と自分の倫理観で判断できる人が増えるとイイデスネ。
※読むものを読む・調べるものを調べて、自分で説明できれば、もちろんどちらを支持しても良いです。

―――

・合憲か違憲かはともかく、世論を見ていて思ったこと

日本は同性婚認めてなくても少子化進んでいるし、少子化の話をするのであれば
最適な人口や税金・年金・保険料の使い方見直しも必要だと思う。
なので、それをしていない政治家やそれを支持する人たちは、
少子化等を理由にして同性婚を批判することはできないかな、と。


だいたい後付けの言い訳なのだろうけれども。

―――

2022年6月-7月。


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