メモのページ
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※このページは必ずしも一番上、もしくは一番下に追記されていくわけではありません。
中間に新たな文章が挿入されている場合もありますので、ご注意ください。
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・(自称)好きなことすら真面目にできない人は、何も真面目にできないです
タイトルが結論。
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2023年9月
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・好みの音を言い訳に使わず、やるなら物理と向き合いましょう
物理も電子回路を勉強したくないのにオーディオ機器自作のまねごとをしたい人たちは、
特性が出ていなくても「好みの音だから良いんだ」と主張されることが多いです。
はて?それしか知らないのに、好みの音とは?
そもそも測定器で見える数字も良くできないのに、
見えない音を任意の方向に寄せられるわけないです。
それは、「試した中でマシだった」というだけです。
それに、好みの音があることと、性能を出せる技術があることは関係ありません。
どう考えてもできることは多いほうが良いので、好みの音が〜という言い訳は理解できません。
特性を出せる人がわざと好みの音のために性能を落とすなら、それはわかります。
そんな人、基本的に出会ったことないですけどね。
(特性変えて、試聴する人たくさん集めてサンプル収集して大衆の感覚と音の摺合せしている人は知っている。)
なお、特性が良いというのは、特性の一部が良いということではなく、
測定できる値もできない部分もすべて理想に近づけてあるものを指します。
歪率はそれなりに良いけれど矩形波応答最悪でギスギスしていたり、
音が詰まったり、上下が出なかったりする機器も多々存在するので。
個人的には、オーディオ機器は音楽を再生する道具なので、
そこに好みの音があるのはおかしいと思いますが…まあそれは本題から外れるので。
ちなみに、Hi-Fiはそのまま訳すと高忠実度ですから、
特性が悪い機器は本来Hi-Fiではありませんね。
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2023年9月
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・トランジスタなに使う?
2SC2705等がなくなった現在、パワーアンプ用のコレクタ損失1W前後・耐圧100V以上のトランジスタは何を使うか問題。
以下はあくまでも私の場合であって、これが最適解かは知らない。コスト重視だと微妙かも。
リードの場合→TO-126でちょっとパッケージがごついものの、KSC3503やKSC2682とそのコンプリ。
チップの場合→BF720とそのコンプリを使う。これは好みがわかれると思う。PZTA42とそのコンプリもアリ。
2SA1201・2SC2881はドライバ向きの特性なので、私は電圧増幅部には使わない。設計によっては使えなくもない。
もう、すべてオンセミに移行したい感あり。
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このページに移動してきた日 2023年8月(ずっとトップページに書いてあった。)
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・損失が厳しい小型チップ部品を使いながらスルーレートを上げる方法
一般的な構造の電圧帰還アンプの場合、初段のアイドル電流と位相補償容量でスルーレートが決まります。
(それ以外の部位が足を引っ張らないこと前提。)
つまり初段の電流を増やせばスルーレートが増加しますが、チップ部品だと損失が厳しい場面が必ず出てきます。
ただし、初段のアイドル電流が多いとスルーレートが上がるのは補償容量を充電するのが早いためなので、
必ずしも1つの素子(差動で2個1対)に流れる電流を増やさなければいけないわけではありません。
ようするに、入力部周りをごっそりとパラレルにしてしまえば良いです。
かつてはgmを増加させる方法として初段パラ接続は多くみられましたが、
それとは目的が違うので、回路は少し違う形になります。
興味がある方は、ご自分で設計なさってみてください。
もちろんそのままだとgmも増加しますので、必要に応じて実質的なgmは下げてください。
gm下げないと補償容量も増やすことになってしまい、電流増やした意味がなくなってしまいます。
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2023年8月
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・いまDACを作るなら…と、ESSのDAC
なんでしょうね。ES9038PROは値段と消費電流がちょっと。
旭化成もAK4490RとAK4493Sは部品通販で安定して購入できるようになりましたが、
メーカーがデータシートを要問合せにしているので、なんとなく萎えてしまい。
(ESSは昔もっとひどかったですけれども。)
ウォルフソンでノスタルジーに浸りましょうか。
最近TI採用製品が減っている気がするので、TIでもいいかもしれません。
個人的にはチャンネルマッピングと位相設定のできるDACが良いので、
旭化成は選択肢として割とありなのですが、前述の理由でうーん。
ES9018K2Mは割とありかなと思います。それも左右別で。
ESSは品種によって設定項目が違うので、よく選ばないと、
そもそも設定項目がなかった……なんてことが発生します。
チャンネルマッピングさえできれば、位相はハードウェアで対応しても良いです。
ESSのDACは電圧出力の出力に、直列に抵抗が入ったような形をしています。
この抵抗はES9018だと834Ωと等価で、出力電流は3.9mAp-p。
3.9mAp-pであり、3.9mAから-3.9mAではありません。
電源電圧の半分を中心にスイングする電圧出力の出力に834Ωが入っているので、
単純に考えれば、電流は1.95mAから-1.95mAまで振れることになります。
実際は少しずれるようですが、これは電流出力ではあまり見ない構造です。
…そもそも電圧出力が基本みたいな構造ですけども。
ES9018ではこれが1チップに8ch分入っています。
出力電流の位相は、TIの電流出力系DACとは逆になっていたと思います。
ESSは電圧出力で使う前提で作っているということなのでしょうね。
電圧出力なら電圧で出してしまえばいいような気もしますが、
普通にやると(増幅しないと)振幅があまりとれません。
LPFは電圧出力でも必要ですから、何かと面倒になる気がします。
この電圧出力時の使い勝手は、ちょっとAKMのDACとも違うように感じます。
※ESSとAKMで電圧出力時の電圧が違うのは、電源電圧が違うためです。
そんなわけで基板とソフトはちまちま設計するのですが、積まれてなかなか作らないのです。
ケース加工したくないというのもありますね。
ところで、中華通販ではES9018K2MやES9038Q2Mの基板が安く売っています。
ICの出どころ等がクリーンかはわかりませんが、安いのは安いです。
特に中華9018K2M基板は、IC1つ分くらいの値段で買えてしまいます。
こういうことしていると、そのうちTI製品みたいに
エンドユーザーが特定できない売り方はしてくれなくなりそうですけれども。
中華ES9038Q2M基板は、一部界隈で評判が良いようです。
しかし、この手の基板はLPF・アナログ出力周りがかなり貧弱なので、実用するようなものかは疑問です。
中華ES9038Q2M基板は中華ES9018K2M基板と異なり、入力端子等も基板に搭載されて
電源つなぐだけで使える安いDACだから評判が良いだけでは…?と思ってしまいます。
回路が似たような構造であろう中華ES9018K2M基板は、
12V程度の電源で0dBの信号を入れると出力がクリップします。
中華ES9038Q2M基板も基本的には同じような気がしますが…どうでしょうね。
解析してみると、構造的に「あーなるほどー」となります。
部品点数が少なく、しかも片電源なので仕方ないです。
あと、この回路だとSNRが悪い(雑音が多い)と思います。
クリップ対策は-3dB…アナログ部の歪みを考えたら-6dBくらいで運用するのが良いです。
もちろんこれはDACより後ろ(アナログ部)で歪んでいるので、
DACのデジタルボリュームで下げるか、トランスポート側で下げる必要があります。
ハード的には電源電圧を上げると解決しますが、あまり高くすると三端子レギュレータが焼けます。
……おすすめはしませんが、電源電圧を上げずともレールツーレール出力オペアンプに
交換することで回路的には解決すると思います。興味がないので試してはいません。
※発振するかもしれないので、もしやるなら波形は必ず確認してください。
ね?実験用以上の使い道はないでしょう?
自分でマイコンつないで任意のレジスタ叩くなら、もう少し遊べます。
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2023年8月
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・2SC5200・TTC5200・2SC5200Nについて
東芝はオーディオ用パワーアンプの出力段に使えるパワートランジスタを何種類も出していました。
2SC5196から2SC5200まで、コレクタ損失違いで5種類出ていたはずです。(もちろんコンプリもあった。)
そのうち下の2つは廃番になり、現在は2SC5198から2SC5200になっています。
ただし、なぜか2SC5199のデータシートは現在、東芝のウェブサイトからなくなっています。
パッケージは2SC5198がTO-3P(N)で、2SC5199と2SC5200がTO-3P(L)です。
このパワートランジスタラインナップには、のちにTTC5200と2SC5200Nが追加されます。
2SC5200が1994年、TTC5200が2009年、2SC5200Nが2012年からのようです。
TTC5200は2SC5200の改良版で、2SC5200NはパッケージがTO-3P(N)になった小型モデルです。
コレクタ電圧5V・コレクタ電流1AにおけるhFEの最小値がTTC5200と2SC5200Nでは
少し良くなっていますが、この値は2SC5200のOランクと同じです。
つまり、Rランクがなくなっただけだと思います。
(TTC5200と2SC5200Nは、データシートにランクわけがあるとは書いていない。)
あとデータシートで大きく違う点と言えば、コレクタ出力容量です。
2SC5200と2SC5200Nは200pF、TTC5200は145pFとなっています。
コレクタ出力容量が小さいTTC5200の推奨品が2SC5200Nになっているところを見ると、
TTC5200を製造するのは何か都合の悪い部分があるのかもしれません。
たとえば歩留まりが悪いとか、他より値段が高くなるとか。
2SC5200には、今のところ推奨品はありません。
大きいメーカーだと採用部品を変えにくかったりするので、部品メーカーは必要以上に推奨品の
指定はしないと思いますが、推奨品があるところを見るとTTC5200はそのうち生産終了になるのでしょうか。
データシート上はこの3種の中でTTC5200が一番性能が良いです。
オーディオ用パワーアンプの出力段では、コレクタ容量はある程度大きいほうが安定するので、
無理に削らなくても…という印象もありますが。
正直、この程度の差はアンプ全体の設計の良し悪しで完全に埋まるので、
その時に一番入手性の良い品種を使えばいいかなと思います。
今は秋葉原で3種類とも扱っているお店があるので、品切れにならなければ
店頭での入手性は大差ない気もします。(ただし、1店舗では揃わないと思う。)
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2023年8月
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・オーディオ機器における電源整流用ダイオードは何が良いか
普通のPN接合のブリッジダイオードで良いと思います。(割と真面目。)
順方向電圧がわずかに低いショットキーバリアを好む向きもあるようですが、
一般的にショットキーバリアは逆電流が大きいです。
つまり、逆電力損失が無視できず、発熱します。
みんな大好き新電元のブリッジダイオードでも、
耐圧が低いものは通常のPN接合型より逆電流が圧倒的に大きいです。
高耐圧モデルでは逆電流が小さくなっているものもあります。(全部かはわからない。)
ダイオードは温度が高いほど順方向電圧が下がりますから、
損失で発熱することによって、冷間時よりさらに順方向電圧が下がります。
しかし、正しく設計された回路でその差が聞きわけられるかは限りなく疑問です。
ダイオードでの電圧降下を考慮しない設計者はいませんので。
また、ショットキーバリアは温度上昇で逆方向電流が増えるため、
放熱が不適切な場合、熱暴走で壊れる可能性があります。
安全面でいえば、通常のPN接合を用いたダイオードのほうが上です。
音が良いダイオードが存在する可能性については否定しません。
ただし、そこで音が大きく影響を受ける回路は、不出来だと思います。
うちにもショットキーバリアしかなくてそれを使っている機器もありますが、
逆電流が不快なので、順次PN接合ダイオードに置き換えていこうかと思っています。
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2023年8月
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・オーディオ用パワーアンプのパワートランジスタなに選ぶ?
私はパワートランジスタに東芝以外を選ぶ気がしないので、基本は2SC5198か2SC5200です。
他メーカーのほうがトランジション周波数が高いものがあったりするため、
性能を追求するなら東芝を選ぶ理由はあまりないのですが、入手性の問題や思い入れはありますね。
部品が良くて性能が出るのは当たり前、性能が劣る部品でそれを超えるのが良いのです。
あと、三重拡散のトランジスタは音が悪い等と根拠もなく言われているのが気に入らないので、
あえて三重拡散型を選んでいるというのもあります。仕事じゃないですしね。
これを選ぶのにはほかにもいくつか理由がありますが、それは書かないでおきます。
なお、データシートの値を比較する際は、条件をよく見たほうが良いです。
メーカーによって違っていたりして、表中の数字ほどの差はない場合もあります。
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2023年8月
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・オーディオ用パワーアンプの出力段はシングルプッシュプルか、パラレルプッシュプルか
とりあえず特性が出れば、あとは好みで。
シングルプッシュプルで、高い周波数でも低歪みにするためには、
出力段のエミッタ抵抗を追い出さない限り、どうしても広い帯域幅が必要になります。
パラレルにすると出力段の実質的なgmが上がるので、
同じ帯域幅ならば、ここに由来する歪みは小さくなります。(ここに由来する歪みだけね。)
合計のコレクタ容量は増えますし、配線長も増えるので、同じ帯域幅というのは難しくなりますが。
私は現在シングルプッシュプル派ですが、これは主にケース加工の問題です。
それを気にしないのであれば、2パラ〜4パラ、とち狂ったら7パラくらいにすると思います。
シングルプッシュプルでも、設計次第ではよほどのことがなければ4Ω負荷に対応できますが、
(トランジスタより先にエミッタ抵抗がやばい)、もう少し余裕がほしいところです。
でも2Ω負荷400W出力とか出せても、どう考えても使わないですし、
電源トランスも大きくなるので、重くなるのがネックです。
重くても、作業卓が十分に広くて、私が強靭な腰をしていれば問題ないのですが。
私は過去にパラで作っている時期もありますから、こだわりはあまりないです。
出しやすい特性と技量に合わせて設計すれば良いのではないかと思います。
というわけで、ちょっとパラレルプッシュプルに戻ろうかなと思っています。
やるなら、TTC5200・TTA1943の4〜5パラあたりでしょうか。
コレクタ容量と相談しつつ、です。
あとは基板面積と配線長と……見た目のインパクトと、うさん臭さと…。
やはり素数個パラが一番良い…。
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2023年8月
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・ファンタム電源はみな同じインピーダンスで作られているのか
規格があるはずなので同じ値でできていなければならないと思うのですが、たまに10kΩくらいある機器がいます。
たとえば、古いものだとRolandのUA-25はインピーダンスが高かったです。(実測)
なので、同じ電流を引っ張っても電圧降下が大きい、つまりマイクにかかる電圧が低くなります。
マイクも消費電流には余裕をもって作っているものが多いので動作しないほど
電圧が下がることはあまりないと思いますが、もし動かなかった際はこういう部分もご確認を。
マイク作って動作確認中に計算した電圧が出ず、こんなの測ることになるとは思わなかったよね。
―
掲載は2023年8月 測ることになったのはこの何年か前
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・ネットで売っているディスクリートアンプや、ディスクリートオペアンプってどうなの?
ピンキリ。でも今は誰でも売れるから、良くないものも多いです。
いくつか計算してみたり、入手して実測してみたこともありますが、
ICの性能の足元にも及ばないものや、そもそも安定しないものも多いです。
ICと言っても高性能なものではなく、NE5532やOPA134といった、
オーディオマニアが安物と馬鹿にするようなICです。
どちらも馬鹿にできるほど性能悪くないですけどね。
MUSES01や02のほうが……。
それでも音がよく聴こえるって?
歪んでいる音がよく聴こえる幸せな耳なんじゃないですか?
(実際にそういうパターンはかなり多いですし、「良い音」ではなく「好みの音」なら否定しません。)
なお、ディスクリートに限らずICを使ったものでも特性の良くないものは多いです。
それだけ高い部品使ったらもっと良い値が当たり前に出るでしょ!?みたいなのね。
だいたい中見ると設計悪くて、察するのですけれども。
そうそう、私はNE5532と書いていますので、その点に注意してください。
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2023年8月
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・音響機器開発において「耳で聞いて良いと思ったからこの部品で良いんだ!」は危険です
すべての部分(測れる部分も測れない部分も)で抜群に良い特性が出ていて、
部品交換後も特性があわせてあるならば、ある程度は参考になるかもしれません。
もちろんこれは、経験が豊富で耳が良い方が聞いた場合に限ります。
しかし、特性も悪く、理論上よくならない(先に改善したほうが良い部分がある)場合に
部品を交換して比較試聴しても、それはただその機器と耳で妥協できる音になっているだけです。
そして、特性が出せない人、理論がわかっていない人が経験豊富ということはほとんどないです。
そういう人、市販品もほとんど聞かない・買わないし、自分で色々な特性を出せるわけでもないので。
やはり、まずは見える特性をよくするところからだと思います。技術的にわかりやすい部分ですし。
見えない・技術も確立されていない音を調整できると言い張るなら、特性を出すのは簡単でしょう?
経験不足・技術不足な者が行った無駄な試行錯誤には、私ならお金払いたくないです。
それは試行錯誤ではなく、ただの無駄な時間ですので。
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2023年8月
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・信頼できる測定結果以外は見る意味が…
どこかのページで書いた気がしますが、形だけ測定している振りや、
概算もせずに数値をとっても、そこに意味はないと思っています。
(ただし、技術屋さん以外がそれを見分けるのは難しいです。)
だってそれがなければ、データが正しいかわからないでしょう?
メーカーはちゃんとやっていると思いたいですが…残念ながらなところも…ふふふ……。
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2023年8月
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・パワーアンプのページで書いた、国内有名オーディオメーカー各社の全高調波歪み率
向こうでは必要なかったから書かなかった少々の解説と感想も追加しつつ。
・DENON PMA-SX1 LIMITED (数値は取扱説明書から引用)
8Ω負荷定格出力・20Hz-20kHzで0.1%
4Ω負荷定格出力・1kHzで0.7%
8Ω負荷定格出力-3dB・1kHzで0.01%
利得は29dB(28倍)
・YAMAHA M-5000 (数値はメーカーホームページから引用)
8Ω負荷50W出力・20Hz-20kHz・2ch駆動・LINE→SPEAKERSで0.035%
利得は入力感度から計算すると約28倍か。
・ESOTERIC Grandioso M1X (数値は取扱説明書から引用)
8Ω負荷300W出力・1kHzで0.006%
特記事項:1kHz以外不明。出力にコイルなし。
・Accuphase A-300 (数値はカタログから引用)
20Hz-20kHz・4-16Ω 0.03%
特記事項:この値の時のゲイン設定は不明。
出力は歪みが悪化しない程度に大きいあたりだと思う。
・LUXMAN M-10X (数値はメーカーホームページから引用)
8Ω負荷・1kHzで0.003%以下、8Ω負荷・20Hz-20kHzで0.04%以下。
利得は29dB。
特記事項:出力は歪みが悪化しない程度に大きいあたりだと思う。
↑の引用データを掲載しているページの私のアンプは利得が21倍(26.4dB)なので、歪みや雑音は
・29dBのアンプと比較する場合は値に1.35をかける。
・22dBのアンプと比較する場合は値を1.66で割る。
で換算できます。
計算例1:26.4dBのアンプの29dB時の全高調波歪率(換算値)は、0.003%以下に1.35をかけて0.004%以下です。
(測定限界なので、単純に乗算した値になるわけではありませんが、計算例として挙げました。)
計算例2:26.4dBのアンプの22dB時の雑音(換算値)は、13uV(A)を1.66で割って7.8uV(A)程度です。
利得が28dBから29dBあたりに集中しているのは、1V入力時に出力が100W程度になるようにだと思います。
…なのですが、今のDACは2V程度の出力レベルなので、1V入力時に100Wや最大出力になるのは過剰です。
まあこれは慣習みたいなものなので、仕方ないかな?こういうパワーを使うなら、プリはゲイン要りません。
(ゲイン要らなくても、パッシブプリは出力インピーダンスとシールドケーブルの容量でLPFになるので良くないです。)
特にPMA-SX1 LIMITEDは出力がchあたり50W程度なので、ゲインはもう少し低くても良いのではないかとは思います。
ただし、ゲインが大きいとボリュームをちょっと回しただけで音が大きくなるため、
最大出力に関係なくパワーあるように感じるという、演出的なものもあるのかもしれません。
歪みは、出力段がMOSFETでシングルプッシュプルのデノン PMA-SX1 LIMITEDがやはり悪いようです。
帯域幅も広くないようなので、帰還で歪みを改善できる量も小さいのだと思います。
メーカーのウェブページには、出力段はUHC-MOSを使用しているとありますが、
データシートを見ると、耐圧が低めで電流が大きいFETみたいです。
MOSFETに大電流を流すためには反転層の幅が必要なはずなので、どうしても入力容量が大きく…。
ヤマハ M-5000はクロスシャントプッシュプル出力なのでちょっと例外。
それでもあまり良いとは言えない値です。
しかもモノラルで使うと悪化するようなデータが、取扱説明書に載っています。
通常ドライブ時の4Ω負荷より、モノラル8Ω負荷のほうが悪いの本当?
(モノラルと書いてありましたが、出力4倍くらい出ているのでブリッジ接続時の値だと思います。)
歪みだけなら、安価なシリーズのA-S801系列のほうが掲載されている値は小さいです。
これはS801・S501・S301が一般的な構造のアンプだからでしょうか。
M-5000の周波数特性は5Hz-100kHzで+0dB/-3dBとなっていますが、
取扱説明書に載っているグラフを見ると、100kHzで-1dBに満たない程度のように見えます。
なので、上のカットオフ周波数はもっと高いですね。
下は5Hzで-3dBくらいしているかもしれません。(グラフは10Hzまで。)
エソテリック M1Xの1kHzは「他社よりは」良いですが、それ以外の周波数での記載はありませんでした。
高い周波数では1kHzより悪化するんでしょうね。(大なり小なり普通はそうなります。)
出力段あれだけ並べればフィードバック量が少なくても出力段由来の歪みは低くなりますが、
それで0.006%はちょっと大きい気がします。違うところで歪んでいるのかもしれません。
それにしても、あの基板の形状と部品配置、ちょっと驚きますね…。
回路設計者でも機構設計者でもない方の設計なのかしら。
アキュフェーズ A-300は4-16Ωで一定の値が書いてあるのですが、
本当に4-16Ωで一定で、それでいてこんなに歪むなら、原因は出力段以外だと思います。
数字を丸めてしまっているだけかもしれませんが…丸めるにはちょっと大きすぎるような。
ラックスマンは1kHzは思ったより良いですが、歪みをフィードバックしてもこの程度なら、
伝統だろうが何だろうがそんな構造にメリットはないと思います。
ちゃんと歪みを打ち消すのであれば、歪み打消しアンプを低歪みにする必要があるはずで、
そうするとメインアンプより歪み打消しアンプのほうが複雑になりそうな気がします。
あと、位相が遅れると打ち消せなくなるはずなので、
メインアンプも歪み打消しアンプも広い帯域幅が必要ではないかと。
(帯域幅が狭い場合は、周波数の低いところしか打ち消せないと思う。)
上では主要なメーカーのみ掲載しましたが、国内マイナーメーカーや海外メーカーも調べています。
ずば抜けてよいところはあまりないです(なくはない)。だいたい似たり寄ったりな感じ。
SNRから算出される雑音の量等も各社違いますから、興味があったらお調べになってみてください。
雑音の量を直接書いてある場合は少ないので、ひと手間かかりますが…。
オーディオ業界は電子系の中でも技術力が低いと言われているのですが、
うん、まあ、それがわかっちゃいますよね、見ているとね。
昔のアンプのほうが、特性が良い傾向があるような気がします。
昔のほうが性能の良いトランジスタが入手しやすかったという事情もありますが、
代わりに今は海外から通販でいくらでも買えるので、技術の差も大きいと思います。
また、以前から言っていますが、全体的に帯域幅が狭いというか、カットオフ周波数が低いと思っています。
カットオフ周波数が低いと、一般的に高域の位相が遅れていきます。
1次フィルタの場合(1ポール補償の場合)、カットオフ周波数の1/10における出力の位相遅れは6度ほどになります。
なので、500kHzくらいは最低でもほしいかなと思います。
DACにLPFが散々入っているので、どこまで位相を重視する必要があるかは設計方針によりますが、
アンプを変えて音が詰まったり濁って聞こえるのは、ここが原因のこともあります。
特性がウェブページにはなく取扱説明書にのみ記載されているメーカーが多いのはなぜでしょう。
取扱説明書は基本的に購入者のためのものなので、購入検討者向けの概要はウェブページやカタログに必要だと思います。
ウェブページに最低限書いてあるメーカーは購入者のことを考えているメーカーで、
あまり書いていないメーカーは購入者以外のことが優先されているのかもしれません。
部品にこだわっています!構造にこだわっています!というメーカーは多いです。
商品ページを見ているこちらが恥ずかしくなるくらい、こだわりが羅列されています。
しかし、それが数字に出ているメーカーは少ないです。
見える数字をよくできないのに、見えない音をよくできるとは思えません。
それで売れるなら商売としては成功なので、物売りとしては正解なのでしょうけれども、
それが三方よしなのかは疑問です。たぶん違います。
ところで、オーディオメーカーというのは技術力もそうですが、
展示会での担当者の態度や、問い合わせ窓口の対応が悪いところが多い印象があります。
対応や言葉の節々から、自分たちが一番詳しいと思っているのが伝わってくるのです。
それは技術だけでなく、営業や広報もそうです。
売れているかと性能が出ているかは全く別の話ですので、
技術についてドヤりたいなら、誇れる程度の性能を出してからだと思います。
もちろん、どのメーカーの製品も複数種聴いたことがあります。
だいたい中身からイメージされる通りの音だなぁと感じます。
聞いて、特性と中身を予想してから答え合わせすることが多いので、
音の感想が中身に影響を受けているということは少ないはずです。
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2023年8月
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・オーディオ関連の頒布、販売は現在すべて停止しています
理由は、自分勝手な方がいて度々損失が出ていることetc...。
ちゃんとやるとどうしてもコストがかかります。
なので、割と損益分岐がきつかったりするのです。
そもそも、オーディオ機器で必要なものや必要な性能のものがあるのならば、
まずユーザーがメーカーや業界に働きかけをする必要があります。
そして、メーカーが必要だと判断すれば実現するでしょう。
散々お世辞レビューをしたり、有名メーカーから新しいものが出るたびに褒め散らかしているのに、
「やっぱりこっちのほうが良いわー」と零細や個人が製作したものにすり寄るのは間違っています。
しかも、自分がメインで使っているものはレビューしない人いますよね、自分だけが知っていたいみたいな。
なにそれ?馬鹿なの?
逆に、良くないものを褒めて被害者を増やすレビュアー()の方も見かけます。
ウェブページやブログでは褒めつつ、Twitterで悪いところ垂れてすぐ売り払ったりとか。
良くないものもお店で売っている時点で、もうよくわかりませんけども。
そんなわけで、知人に作ってもらうもの以外は止まっています。
でも、お仕事なら(見合えば)やりますので、何か相談がある場合はご連絡ください。
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2023年8月
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このページの最終更新 2023年8月。
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